『メタリックルージュ』第三幕「境界の街」 真理部と相対していくルジュ【朝どれアニメちょこっとコラム】

ルジュ・レッドスターとナオミ・オルトマン、ふたりの女性(?)がインモータルナインと呼ばれる人造人間たちと相対するのがアニメ『メタリックルージュ』だ。
本作は一見するとルジュとナオミによるバディものようにも見える。しかし、ふたりの関係はどこかドライで、バディと言えるほどの信頼関係があるようには見えない。そのふたりのクールな距離感こそが本作の魅力と言えるだろう。

近年放送となったバディものに『リコリス・リコイル』があった。井ノ上たきなと錦木千束の出会いから始まる本作。物語の序盤に描かれるのは、たきなと、彼女が所属する組織・DAとの関係の変化だ。これまでDAこそが自身の居場所であると考え、DAの掲げる正義を全うしてきたたきな。そんな彼女が千束との出会いを通し、自分なりの正義を身につけ、DA依存的な体質から脱していく。
この構造は『メタリックルージュ』とも共通する部分がある。政府機関・真理部からの命を受け、インモータルナイン抹殺の旅をするルジュとナオミ。この抹殺命令を従順に実行するルジュだったが、それに従うことに徐々に疑問を感じ始める。人造人間である自信が、人造人間であるインモータルナインを抹殺する必要があるのだろうか、と。

ここで特記すべきは『リコリス・リコイル』と『メタリックルージュ』、両作品におけるバディ相手の立ち位置の差だろう。
『リコリス・リコイル』におけるたきなのバディ・千束は反DA側の人間だ。彼女はたきなに対してDAの価値観に捉われず「自分のしたいことをする」ことの素晴らしさを身をもって示す。結果、たきなは千束と距離を近づけていく。
対して『メタリックルージュ』のルジュのバディ・ナオミは真理部の考えに忠実。心のどこかでルジュを道具だと考え「あんたなんか所詮真理部の道具」と口走ってしまう。その結果、第三幕「境界の街」でふたりは別行動をするに至ってしまうのだ。

今後、両者の関係性はいかなる変遷を辿るのだろうか。ふたりの間にできた溝は修復されるのだろうか。注目しながら試聴していきたい。

TVアニメ『メタリックルージュ』

2024年1月 フジテレビ「+Ultra」ほかにて放送予定
■STAFF:
総監修:出渕 裕
シリーズ構成:出渕 裕 根元歳三
監督:堀 元宣
キャラクターデザイン:川元利浩
特技監督:村木 靖
グラディエーターデザイン:竹谷隆之 篠原 保
メカニカルデザイン:平尾朋之
プロダクトデザイン:宮武一貴
セットデザイン:武半慎吾 石津泰志
コスチュームデザイン協力:山田章博
美術監督:海老澤卓也
色彩設計:梅崎ひろこ
撮影監督:池上真崇
3DCGスーパーバイザー:今 義和
3DCGディレクター:内田大樹
設定考証:堺 三保
文化考証:柴田勝家
音響監督:山田 陽
音楽:岩崎太整 yumayamaguchi TOWA TEI
アニメーション制作:ボンズ

■CAST:
ルジュ・レッドスター:宮本侑芽
ナオミ・オルトマン:黒沢ともよ

公式HP:https://metallicrouge.jp
公式X(旧Twitter):@MetallicRouge
公式TikTok:@metallicrouge_anime

(c)BONES・出渕裕/Project Rouge

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