「姫様“拷問”の時間です」
魔王軍最高位拷問官トーチャー・トルチュールのそんな一言をきっかけに、捕虜として囚われた姫様に対して苛烈な拷問(?)が行われるのがアニメ『姫様“拷問”の時間です』だ。
魔王軍には数々の拷問官が所属しており、繰り出してくる拷問のレパートリーは実に多彩。姫様はその拷問に対して次々に王国の(比較的しょうもない)秘密を暴露してしまう。
本作の面白さは、その拷問内容にある。魔王軍が繰り出す拷問は“我々が日常的に味わっている些細な苦しみ”を使ったものだ。
他人が美食に舌鼓を打っている瞬間を目の当たりにしたり、友人がテーマパークに行っているのを目の当たりにしたり……。私たちは日々そんな些細なストレスに晒されながらを生きている。それと同質の苦しみを“拷問”の名のもとで姫様が味わうことになる。我々は拷問を受ける姫様の苦しみを想像し、感情移入してしまう。その結果秘密を暴露してしまう姫様に……は感情移入しないけど……。
社会生活を送るにあたって我慢しなければならないこと、手に入らないものがあまりに多い。それらのストレスから逃れて生きていくことは実質不可能だ。
それは捕虜となる以前の姫様も同様だっただろう。“姫という立場”が彼女を行動を制約する。その結果、彼女は自分の欲求を押し込めて生きてきた。
そんな姫様が“姫という立場”から脱し、拷問の末、己の思うままに欲望を満たしていく。その光景はある種滑稽でありながらも、羨ましくもある。我々はその様子に魅了され、本作に引き込まれるのだろう。
TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』
■STAFF:
原作:春原ロビンソン・ひらけい(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:金森陽子
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:河野敏弥、古橋 聡
音響監督:明田川仁
音楽:横山 克
アニメーション制作:PINE JAM
■CAST:
姫:白石晴香
エクス:小林親弘
トーチャー・トルチュール:伊藤 静
魔王:玄田哲章
陽鬼:永瀬アンナ
陰鬼:井上ほの花
アニメ公式HP:https://himesama-goumon.com
アニメ公式X(旧Twitter):@himesama_goumon
(C)春原ロビンソン・ひらけい/集英社・国王軍第三騎士団