『T・Pぼん』 歴史を変えない人生に意味はあるのか?【気まぐれアニメちょこっとコラム】

「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ」
1988年に放送開始となったアニメ『アンパンマン』のオープニングの一説である。本作を初めて見た時、僕はまだ一歳だった。あれから30数年、僕はいまだに「なんのために生まれた」のかに答えを持てていない。
生まれた意味を考えた時、「自分の人生は歴史的に見て意味があるのか?」という疑問に直面する。できれば意味があってほしいとは思う。ただ、自分の存在に歴史的意味をを見出すのはなかなかに難しい。

2024年5月よりアニメ『T・Pぼん』がNetflixにて配信開始となった。本作で描かれるのは主人公・並平凡をはじめとしたタイムパトロール隊の活躍だ。彼らはタイムボートを用いて過去を訪れ、そこで起こる“悲運の死”を未然に防いでいく。
しかしながら、タイムパトロール隊の人命救助には一定の制約がある。歴史を変えない範囲での活動を余儀なくされる彼ら。その手が救えるのは「歴史に影響を与えない人物」に限られる。彼らの活動は「歴史的意味」を持つことが許されないのだ。

ならばタイムパトロール隊の面々はなぜ人命を救い続けるのだろうか? きっと彼らは「歴史的意味」を超越したところに人が生きる尊さを見出しているのだろう。
歴史を変える力がなくても、その人が生き続けることには意味がある。その人が生きていることで誰かを幸せにする瞬間も訪れる。そんな人間讃歌のメッセージが本作には込められているのかもしれない。

Netflixシリーズ『T・Pぼん』
シーズン1
2024年5月2日(木)世界独占配信
シーズン2
2024年7月17日(水)世界独占配信
スタッフ
原作:藤子・F・不二雄
監督:安藤真裕
音楽:大島ミチル
アニメ―ション制作:ボンズ
製作:Netflix
キャスト
並平凡:若山晃久
リーム・ストリーム:種﨑敦美
ブヨヨン:宮野真守
安川ユミ子:黒沢ともよ
白石鉄男:日笠陽子
柳沢:伊藤節生
白木陽子:白砂沙帆
ゲイラ:加瀬康之

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