『怪獣8号』&『ダンジョン飯』正体不明の相手を「知る」ということ【気まぐれアニメちょこっとコラム】

「隊員の中に怪獣に詳しい人がいるのかな?」
『怪獣8号』に登場する人型怪獣、通称怪獣9号の放った言葉だ。この言葉は、怪獣9号の異様な存在感も相まって、聞くものに言い知れぬ違和感を植え付ける。この違和感はどこからくるのだろうか? その原因は「怪獣」と「詳しい」の間にある食い合わせの悪さにあるように思う。

デジタル大辞林で「怪獣」と検索すると

 正体の知れない不思議な動物。
 多く恐竜に模して創作した、巨大な動物。

との説明がなされる。「怪獣」とは未知の存在。それに対して豊富な知識を持つ人間がいる状況に、僕はどこか座りの悪さを感じていたのだろう。

人は旧来、正体不明の事象を恐れ、その正体を突き止めることで恐怖を克服しようとする。「原因不明の疫病」の恐怖を乗り越えるため、医療技術を発展させてきたのもこのためだ。その点から考えると、正体不明の「怪獣」に対して高い知識を持つ主人公・日比野カフカが日本防衛隊の精神的な支柱になりつつあることも頷ける。彼ならばいつか「怪獣」を「既知の生物」にしてくれるだろう。

ここで脳裏にもう一人、あるキャラクターの顔が浮かぶ。それは『ダンジョン飯』の主人公・ライオス・トーデンだ。彼はダンジョン内に生息する謎の生き物「魔物」に対して強い興味を示す。その生態と味を知ることに異様な執着を見せ、彼らに対して並々ならぬ知識を有している。いわば「魔物に詳しい人」だ。そんな彼が迷宮の最深部に近づきつつある。迷宮の謎を解くヒントとなるであろう黄金城を臨む村にも到達する。

「怪獣」や「魔物」をはじめ、正体不明で人に害をなす生き物と対峙するのは、強大な力を持つ者の役目だったように思う。しかし、その常識に今変化が訪れている気がしてならない。正体不明の相手は力で抑え込むのではなく、豊富な見聞を持って対処する。それが今風の主人公のあり方なのだろう。

TVアニメ『怪獣8号』

2024年4月放送
■STAFF:
原作:松本直也(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:宮繁之 神谷友美
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン・総作画監督:西尾鉄也
怪獣デザイン:前田真宏
美術監督: 木村真二
色彩設計:広瀬いづみ
3D監督:松本勝
撮影監督:荒井栄児
編集:肥田文
音響監督:郷文裕貴
音楽:坂東祐大
怪獣デザイン&ワークス:スタジオカラー
アニメーション制作:Production I.G
■CAST:
日比野カフカ/怪獣8号:福西勝也
市川レノ:加藤渉
亜白ミナ:瀬戸麻沙美

公式サイト:https://kaiju-no8.net
作品公式Twitter:https://twitter.com/KaijuNo8_O
アニメ公式英語Twitter:https://twitter.com/KaijuNo8_O_EN

(C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

TVアニメ『ダンジョン飯』第2シーズン

毎週木曜全国28局にて連続2クール放送中
Netflixほか各配信サイトにて地上波同時配信中
■STAFF:
原作:九井諒子(「ダンジョン飯」/KADOKAWA 刊)
監督:宮島善博
シリーズ構成:うえのきみこ
キャラクターデザイン:竹田直樹
モンスターデザイン:金子雄人
コンセプトアート:嶋田清香
料理デザイン:もみじ真魚
副監督:佐竹秀幸
美術監督:西口早智子、錦見佑亮(インスパイア―ド)
美術監修:増山修(インスパイア―ド)
色彩設計:武田仁基
撮影監督:志良堂勝規(グラフィニカ)
編集:吉武将人
音楽:光田康典
音楽制作:KADOKAWA
音響監督:吉田光平
音響効果:小山健二(サウンドボックス)
録音調整:八巻大樹(クラングクラン)
アニメーションプロデューサー:志太駿介
アニメーション制作:TRIGGER
製作:「ダンジョン飯」製作委員会
第2シーズンOP主題歌:sumika「運命」
第2シーズンED主題歌:リーガルリリー「キラキラの灰」
■CAST:
ライオス:熊谷健太郎
マルシル:千本木彩花
チルチャック:泊明日菜
センシ:中 博史
イヅツミ:神戸光歩
ファリン:早見沙織
ナマリ:三木 晶
シュロー:川田紳司
カブルー:加藤 渉
リンシャ:高橋李依
ミックベル:富田美憂
クロ:奈良 徹
ホルム:広瀬裕也
ダイア:河村 螢
マイヅル:日笠陽子
ヒエン:志田有彩
ベニチドリ:鬼頭明里
イヌタデ:古谷佳乃
シスル:小林ゆう

アニメ公式HP:https://delicious-in-dungeon.com
TVアニメ公式X(旧Twitter):https://twitter.com/dun_meshi_anime

(C)九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

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