どうやら僕は天才が故に道を外れてしまった人物に惹かれる傾向があるらしい。あわよくば彼らに事件など解決していただけると尚嬉しく思う。
『薬屋のひとりごと』に登場する猫猫などはその好例という感じがする。薬学を極めるため自ら進んで毒を摂取する。そのせいで左腕は傷跡だらけ。毒見役として毒入りの料理を食らい吐き出した後には「ホントはあのまま飲み込みたかったけど」とまで言い出す始末。天才にはそれぐらいの道徳感で生きていてほしいと思う。
先日配信が始まった『悪魔くん』にも、同様の理由でたまらなく魅了される。今作の主人公である埋れ木一郎・通称“悪魔くん”は、まさに人の道を踏み外した天才だ。悪魔の研究に余念がなく、住む部屋は本と怪しげな小物で溢れかえっている。会話は合理的ながら人の気持ちに配慮がなく、友人が事故で亡くなったと話す女子大生に向かって「事故は20代の死因第2位だ、珍しくない」と言い出す。まさにサイコパスといった印象だ。
そんな悪魔くんが謎を解き明かす姿が実に痛快だ。他人の意を全く気にせず、時には人の部屋に無断で押し入って部屋を物色する。周りからは煙たがれつつも、それでも確実に事件の真相に近づいていく様はまさに天才といった様相で、見ていて心地よい。悪魔くんを傍らで支えながら、行きすぎた操作を時に嗜めるメフィスト3世とのバディ感も最高だ。半分が悪魔であるメフィストが人間の心を解するという状況だけでも十分に面白いわけだけど。
これまで幾度か主人公を入れ替えて描かれてきた『悪魔くん』。その主人公は常に悪魔研究に没頭する一万年に一度の天才だ。それを現代風に描き直して生まれたのが人の道を外れた天才・埋れ木一郎だったのだろう。
アニメ『悪魔くん』
■原作 水木しげる
■キャスト
悪魔くん/埋れ木一郎:梶裕貴
メフィスト3世・メフィスト2世:古川登志夫
風間さなえ:白石涼子
風間み:花守ゆみり
グレモリー:ファイルーズあい
朝凪ヒナ:藤井ゆきよ
埋れ木エツ子:柳沢三千代
サタン:屋良有作
ストロファイア:下野紘
初代悪魔くん/埋れ木真吾:三田ゆう子
■スタッフ
総監督:佐藤順一
キャラクター原案・シリーズディレクター:追崎史敏
シリーズ構成:大野木寛
キャラクターデザイン・総作画監督:渋谷秀
美術監督:空閑由美子
色彩設計:辻田邦夫
撮影監督:荻原猛夫
魔法陣デザイン:越阪部ワタル
音楽:井筒昭雄
アニメーション制作:エンカレッジフィルムズ
製作:東映アニメーション
■配信情報 2023年11月9日(木)よりNetflixにて世界独占配信
■関連サイト・SNS
『悪魔くん』公式Twitter:https://twitter.com/Anime_Akumakun
『悪魔くん』公式サイト:https://www.toei-anim.co.jp/akumakun/
ゲゲゲの鬼太郎&悪魔くん アニメポータルサイト:https://www.toei-anim.co.jp/kitaro-akumakun/
鬼太郎&悪魔くん 応援部:https://c-rayon.com/result/kitaro-akumakun
(C)水木プロ・東映アニメーション