『ぶっちぎり?!』 荒仁がまとう新時代ヤンキーの空気【朝どれアニメちょこっとコラム】

ヤンキーを題材にした作品は、“親”の存在と食い合わせが悪い。
あくまで彼らは高校生、親に学費を払ってもらって高校に通っているのが一般的だ。親の庇護のもとにある彼らが強大な理想を語ってもあまり説得力が生じない。そのため、親の存在は物語上には登場させない、登場したとしてもあまり印象に残らないようにするのが定石だと思うのだ。

その点、現在放送中の『ぶっちぎり?!』は異色だ。本作では主人公・灯 荒仁の母親が物語に登場する。彼女のキャラクター的インパクトは並々ではなく、見るものの記憶にしっかりと刻みつけられる。これはヤンキーものとしては非常に珍しいように思う。
なぜ本作にはあんなにもインパクトの強い“親”が登場したのだろうか? その要因は荒仁というキャラクターの特性にあると思う。

荒仁は本作の主人公でありながら、自主的にヤンキーになろうとはしない。ただただ「童貞を卒業したい」という高校生としては普通の願望を持ち、意中の女子・まほろちゃんの気を惹くことを考えて前に突き進む。その結果、はからずもヤンキーの世界に足を踏み入れていくのだ。

ヤンキーものの主人公でありながら、ヤンキー界の高みに全く興味を示さない。そんな地に足のついたキャラクターだから、その母親としてあれだけパンチの強いキャラクターを登場させることができたのだろう。
現実的で、ある種冷めた考え方の荒仁。彼こそが新時代のヤンキー作品の主人公の在り方なのかもしれない。

TVアニメ『ぶっちぎり?!』

■STAFF:
原作:内海紘子・岸本卓・MAPPA・東宝
監督:内海紘子
シリーズ構成・脚本:岸本卓
キャラクターデザイン・総作画監督:加々美高浩
サブキャラクターデザイン・総作画監督:齊田博之/伊藤公規/伊藤晋之
衣装コンセプトデザイン:澤田石和寛
美術監督 :鈴木くるみ
色彩設計: 垣田由紀子
撮影監督:加藤慎之助
編集: 長坂智樹
音楽: 大島ミチル
音響監督: 菊田浩巳
音響制作:dugout
アニメーションプロデューサー:小川崇博
制作:MAPPA
オープニング・テーマ:「Sesame」Kroi

■CAST:
灯 荒仁:大河元気
浅観音真宝:星野佑典
千夜:こばたけまさふみ
まほろ:永瀬アンナ
摩利人:佐々木望
拳一郎:斉藤次郎
座布:野津山幸宏
駒男:山口勝平
王太:竹内良太
蛇走:古川慎
刃暮:葉山翔太
阿久太郎:鈴木千尋

公式HP:bucchigiri.jp
公式Twitter(X):@bucchigiri_PR

(C)「ぶっちぎり?!」製作委員会

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