『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』「ホームタウン オブ ザ デッド」 アキラと日暮を隔てたもの【朝どれアニメちょこっとコラム】

僕の中で「身近な絶望」と呼んでいる出来事群がある。
受験の失敗だとか、勤めていた会社の倒産だとか、離婚だとか……。そういった直面したら人生が狂わされるかもしれない、でも誰の身にも降りかかりかねない出来事を「身近な絶望」と呼んでいる。こんなものが身の回りに溢れていること自体が嫌な話なんだけども……。

『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』には「身近な絶望」を経験したキャラクターが数多く登場した。「ホームタウン オブ ザ デッド」で相対することとなったアキラと日暮もそのひとりだ。ブラック企業での労働に直面したアキラ、居場所のない大学生活に力面した日暮、両者は各々に「身近な絶望」に直面し、人生観を大きく変化させた経験を持っていた。

しかしアキラと日暮はその後の人生を大きく異なるものとする。
ある集落にて対面した両者。アキラは集落の人々を救うために行動し、日暮は集落を崩壊させるために行動する。結果、日暮と阿天坊は命を落とすこととなるのだ。果たして両者の人生を分けた要因はどこにあったのだろうか?

両者の間にあった最大の差は他人に対しての想像力だったように思う。
日暮は他人に対して想像力を働かせることはない。その結果、学生時代のアキラを見て一方的に「悩みのひとつない」と断定し、彼を躊躇なく貶めようと行動する。対するアキラは窮地に陥っても他人の人生に想像力を働かせ続ける。結果日暮に対しても「誰もが日暮になっていたかもしれないんだ」と語るのだった。

どんな人にも起こりうる「身近な絶望」。それに直面した時、人を人道に止めるのは想像力なのだろう。それを教えてくれたのが『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』だったように思う。

TVアニメ『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』

■メインスタッフ
原作:麻生羽呂・高田康太郎
(小学館『月刊サンデーGX』連載中)

監督:川越一生  
副監督:上田華子
シリーズ構成:瀬古浩司  
キャラクターデザイン:田中紀衣  
ゾンビデザイン:福地純平
音楽:宮崎 誠  
選曲:合田麻衣子
音響制作:dugout
アニメーション制作:BUG FILMS 
制作:小学館集英社プロダクション

天道 輝/アキラ: 梅田修一朗
三日月 閑/シズカ:楠木ともり
竜崎憲一朗/ケンチョ:古川慎
ベアトリクス・アメルハウザー:髙橋ミナミ

<アニメ公式サイト> https://zom100.com/
<日本公式Twitter> https://twitter.com/Zom100_anime_JP
<海外公式Twitter> https://twitter.com/Zom100_EN

(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/「ゾン100」製作委員会

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