今やアニメと切っても切り離せない関係となったアニメソング。アニメ視聴にあたり、どのような主題歌が使われるのか、そこにどんな映像が使われるのかを楽しみの一つとしているという人も多いのではないだろうか? 以前に弊媒体においても『偏愛!? 筆者が衝撃を受けたアニメオープニング映像5選!』と題して名オープニングアニメーションを紹介してきた。今回はその第二弾として、アニメの内容をよく表現したアニメオープニング映像のワンシーンを紹介していこうと思う。
繰り返し見ることとなるアニメオープニング映像。そこで描かれるシーンのひとつひとつは、見ている人の脳に強く刷り込まれる。たった数秒のシーンが物語の印象と大きくリンクすることも決して珍しいことではない。今回は筆者にとって思い出深いワンシーンを紹介していこうと思う。
『めぞん一刻』「サニーシャイニーモーニング」(1987)
高橋留美子による同名コミックをアニメ化、全96話で放送されたアニメ『めぞん一刻』。その3曲目(24話でのみ使用された「アローン・アゲイン」を含めると4曲目)にあたるのが「サニーシャイニーモーニング」だ。歌唱を担当したのはシンガーソングライター・松尾清憲。
ヒロインである音無響子の描写が大部分を占める本映像。夜空にその表情が浮かび上がるところからスタートすると、その後も情景を変えながら響子がこちらに視線を送ってくる。その美しさは見るものの目を奪わずにはいない。そして本映像はヒロイン・音無響子と主人公・五代裕作の見つめ合うシーンでクライマックスとなる。
しかし、本映像の見どころはこの後にある。見つめ合う2人を本作の舞台となるアパート・一刻館の住人が茶化しに登場。その1人である四谷は裕作に茶碗に盛られた白米を渡して去っていく。本作のギャグ要素を凝縮したワンシーンとなっている。
『機動警察パトレイバー』「そのままの君でいて」(1989)
OVAを皮切りに、マンガ・小説・ゲーム・テレビアニメなど幅広いメディアミックス展開をみせた『機動警察パトレイバー』。そのテレビアニメ版の最初の主題歌にあたるのが仁藤 優子が歌った「そのままの君でいて」だ。作詞を担当したのは『ドラゴンボール』「魔訶不思議アドベンチャー!」や『アイドルマスター シンデレラガールズ』「Star!!」でも知られる森由里子。
登場キャラクターを2人1組で描写していく本映像。そのひとつひとつが関係性を表現しており、全てが見応えに溢れている。中でも象徴的なのはイングラム二号機の操縦担当、太田功と指揮担当、香貫花・クランシーの描写だ。
前面で雄々しく敬礼する太田に対し、後方で軽く頭を抱える香貫花。暴走する太田を香貫花が引き止める。その関係性が一枚の絵にはっきりと現れた一枚となっており、非常に印象深い。
『YAWARA!』「ミラクル・ガール」(1989)
『20世紀少年』、『PLUTO』で知られるマンガ家・浦沢直樹の同名コミックをアニメ化した『YAWARA!』。本作の初代オープニングとして使用されたのが永井真理子が歌う「ミラクル・ガール」だ。
柔道界において絶対的な強さを誇る本作のヒロイン・猪熊柔。そのあまりの強さに周囲の人々は彼女を柔道の世界に引き込もうと苦心する。しかし、本人はあくまで「普通の女の子」になることを望み、柔道とは距離を置きたいと考えていた。本オープニング映像は、そんな柔が憧れる「普通の女の子」像をあらわしたかのようなものに仕上がっている。
ブティックを覗き込む姿が映し出されると、その後多様な装いで画面に登場する彼女。そのひとつひとつには彼女の思い描く「普通の女の子」のあり方に感じられ、本編の味わいをさらに増している。副題である「a fashionable judo girl!」が明確にあらわれた映像だ。
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』「嵐の中で輝いて」(1996)
1996年から1999年にかけて発売されたOVA作品『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』。オープニングである「嵐の中で輝いて」は米倉千尋のデビューシングルとなっている。作詞を担当したのは林原めぐみ「Tokyo Boogie Night」でも知られる渡辺なつみ。
一年戦争における東南アジア戦線の様子を描いた本作。湿地帯で繰り広げられる生々しくも泥臭い地上戦と、リアルな人物描写が大きな魅力だ。
本オープニング映像では、そんな泥臭い戦いを映し出したものとなっている。中でも印象的なのは映像内に登場する食事シーンだ。土砂降りの雨の中で配給食を受け取った第08MS小隊隊員、エレドア・マシス。その食事に雨が降り注ぐのを見てうんざりとした表情を見せる。その様子には本作の泥臭さが明確に表れている。
『YAT安心!宇宙旅行』「HEAVEN」(1996)
1996年に放送開始となったNHK製作のオリジナルアニメ『YAT安心!宇宙旅行』。そのオープニングを担当したのは伊秩弘将率いる音楽プロジェクト・HIM。同ユニットは『劇場版 魔法陣グルグル』エンディングテーマ「LOVE GOES」の制作も担当している。
ひょんなことから宇宙船YATの乗組員として働くこととなった星渡ゴローと、YATの乗組員たちの活躍を描いた本作。その見どころの一つに、ゴローによるYAT添乗員・天上院桂の片思いがある。幾度に渡って好意をアピールするゴローだが、天然ボケである桂からは幾度となくスルーされてしまうのだ。
その関係性はオープニング映像にも大いに表れている。記念撮影をするにあたり桂の隣に並ぶゴロー、肩を抱き寄せようと彼女の元に手を伸ばすもなかなか煮え切らない。桂はそれに気づきつつも、ぼんやりとした表情を見せる。ふたりの距離感をよく反映したものとなっており、見ていてクスリと笑わされる。
ライターから一言
アニメを見るにあたって、何度も繰り返しで見ることとなるアニメ映像。これまでなんとなく見てきた映像の中でも、振り返っていると強く印象に残っているものが皆さんの中にもあるのではないだろうか?
もしも思い入れ深い映像として思いつくものがあれば、下記URLに設置したアンケートで教えてもらえると幸いだ。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeBjbDJ3v3bgyOSji9lqU2HWJ1cMpr6WGLkIefn3G4pR30yHw/viewform?vc=0&c=0&w=1&flr=0
著者:一野大悟