2000年4月から放送されたアニメ『陽だまりの樹』という作品があります。
手塚治虫が1981年から1986年にかけて『ビッグコミック』にて連載していた同名コミックをアニメ化した本作。
『タッチ』『ストリートファイターII MOVIE』『飛べ!イサミ』などで知られる杉井ギサブローが監督をつとめ、制作を『妄想代理人』『四畳半神話大系』『Sonny Boy』を手掛けたマッドハウスが担当しています。
第4回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門では優秀賞を受賞した評価の高い作品でもあります。
幕末紀の日本を舞台とした作品ですが、そこで起きる事件の数々には近年の日本を予知したかのような描写が多くあり、そこから学ばされることは多くあります。
今だからこそ改めて見てほしいアニメ『陽だまりの樹』、その魅力について解説していければと思います。
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※下記ネタバレを含みます。
アニメ『陽だまりの樹』とはどんな作品
本作には二人の主人公が登場します。一人は常州府中藩士・伊武谷万二郎、もう一人は医師で手塚治虫の曽祖父・手塚良庵(後の三代目手塚良仙)です。
手塚良庵は父・二代目手塚良仙から蘭方医学と呼ばれる医学を学んでいました。この医学はオランダから流入してきたもので、当時で主流とされていた漢方医学とは流れの異なるものでした。そのため、これまで漢方医学による治療をおこなってきた医師からは商売敵として疎まれ、度々嫌がらせをうけていたのです。
巻き起こるワクチン接種の是非
そんな中、江戸の街に大きな事件が巻き起こります。それが天然痘の感染拡大です。ウィルス性の疾患であるこの天然痘、その感染をこれ以上拡大させないために、蘭方医たちは江戸でのワクチン接種を広めようと尽力します。
この状況は漢方医にとって決して望ましい状況ではありませんでした。ワクチンに効き目があることが証明されると、漢方を使った治療をおこなってきた自身の地位が失墜してしまう、そう考えたのです。
漢方医たちは天然痘ワクチン接種を「畜生の病気を人間様にうつす」行為として世間に広まらないように策略を張り巡らせます。時には「天然痘ワクチンを摂取すると牛になる」というデマを流し、ワクチン摂取が広まるのを妨害したのです。
現代に通じる要素
昨今のコロナウィルス感染拡大に対しても「ワクチン接種は身体に有害だ」「ワクチンを摂取すると牛になる」といった発言をする人を度々見かけました。どういった理屈で彼らがワクチン接種反対を訴えていたのか、僕には分かりかねます。
しかしその一部には、当時の漢方医師たちのように「ワクチン接種が進むと不利益を被る」という理由から、このような発言をする人もいただろうということは想像に容易いです。そこまで想定した上で、ワクチン摂取の是非を判断する必要がある、思うのです。
ライターから一言
コロナウィルスの感染に一段落がついた今だからこそ、アニメ『陽だまりの樹』を見て感染症との向き合い方を考えてみてはいかがでしょうか?
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