『ゆびさきと恋々』第1話「雪の世界」 話すことと書くこと、ふたつのコミュニケーション【朝どれアニメちょこっとコラム】

ライターとして仕事をしていると、特にインタビュー記事を書いていると、話すことと読むことの違いを大きく感じる。同じ話であっても、言葉にして発した時と、文章に書いた時、受け取った人の心象は大きく変わる。だから僕らみたいなライターが必要となる。僕らがやっているのは話し言葉と書き言葉の翻訳者みたいなものだ。

1月6日、『ゆびさきと恋々』の第1話「雪の世界」が放送された。本作の主人公である糸瀬雪は聴覚障害を持ち、声を発することが叶わない。コミュニケーションのために“話す”という選択肢を持ち合わせていない。彼女は筆談や手話を用いて他者と対話することとなる。この状況がどれだけのハンデとなるのか、本作はその部分に焦点をあてる。

意中の相手である波岐逸臣の連絡先を知りたいと考える雪。彼が働くカフェバーを訪れると、その気持ちを本人にぶつけようと苦心する。しかし、彼女はその一歩を踏み出すことができない。ホワイトボードに「連絡先を教えてください」と書きかけ、「文字にしたらなんか重いような……」と思い悩み、これを引っ込めてしまうのだ。

普段あまり意識していないが、我々は時によってコミュニケーションの方法を使い分けている。時に文章にして、時に話し言葉にして、より伝わりやすい方法を取捨選択しながら他者とコミュニケーションをとる。
しかし、雪は話し言葉という選択肢を持っていない。それゆえに気軽に「連絡先を教えてください」と言い出せずにいるのだ。
本作はコミュニケーションの手段が一つ少ない少女のラブストーリーだということに気付かされる。果たしてふたりの関係はどのように発展していくのだろうか? 続きが楽しみだ。

アニメ『ゆびさきと恋々』

◆STAFF
原作:森下 suu(講談社「月刊デザート」連載) 監督・絵コンテ:村野佑太
シリーズ構成・脚本:米内山陽子
キャラクターデザイン:酒井香澄 総作画監督:酒井香澄、西岡夕樹、遠藤江美子、玉利和枝、辻加奈子 衣装デザイン補佐:あおのゆか
プロップデザイン:ヒラタリョウ
手話アニメーター:柳田義明、藤森雅也、宮本雄岐
場面設計:関根昌之
美術監督:本田光平
美術設定:綱頭瑛子、伊良波理沙
美術:草薙
色彩設計:中野尚美
撮影監督:佐藤哲平
撮影:旭プロダクション
編集:白石あかね
音響監督:菊田浩巳
音響制作:TO ブックス
音楽:橋本由香利
アニメーション制作:亜細亜堂

◆CAST
糸瀬 雪:諸星すみれ
波岐逸臣:宮崎 遊
芦沖桜志:大塚剛央
波岐京弥 :逢坂良太
藤白りん:本渡 楓
中園エマ:東山奈央
伊柳心 :畠中祐

◆主題歌
オープニングテーマ:Novelbright「雪の音」(読み:ゆきのね)
エンディングテーマ:チョーキューメイ「snowspring」

◆公式 HP:https://yubisaki-pr.com
◆公式 X(旧 Twitter):@yubisaki_pr

(C)森下 suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会

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