2024年の開幕早々である1月5日、一本の映画が公開された。『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』。アニメ監督・谷口悟朗がクリエイティブ総括をつとめた『エスタブライフ』シリーズの劇場版作品だ。監督をつとめるのは『エスタブライフ』シリーズの原案をつとめた谷口悟朗。
本作で逃走劇を繰り広げるのは改造人間となった男・キサラギと、新宿クラスタに住む少女・ルナルゥ。ふたりの逃走をサポートするため、テレビアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』に登場したエクアたち逃がし屋の面々も登場する。
少女・ルナルゥが住む新宿クラスタは実に過酷な環境だ。ヤクザが実権を握り、性風俗が主要産業となっている本クラスタ。女性を性的に搾取する者がはびこり、ルナルゥは危険と隣り合わせの日常を送っていた。彼女はそんな街から抜け出したいと考えるも、実行に移せずにいる。果たして彼女の行動に歯止めをかけていたのはなんだったのだろうか?
それは彼女の中にある“不確定な未来”への不安だったと思う。このまま新宿クラスタに留まっても、その先にある未来は決して明るいとは言い難い。しかし、ここから逃れた先で待っている“不確定な未来”が、今よりも明るいという保証もないのだ。この状況が彼女の決断を鈍らせる。現状から脱したいと願いながらも、彼女を現状に押しとどめてしまうのだ。
そんな彼女に「逃げる」という決断をさせたのはキサラギとの出会いだった。外の世界から来たキサラギとの会話を通して、彼女は外の世界を知っていく。その結果、“不確定な未来”の中に確定的な部分を見出す。結果、彼女は新宿クラスタを離れるという決断をするに至った。
“逃げる”という決断には勇気が必要だ。逃げた先に幸福が待っていると言う保証がないからだ。この“不確定な未来”は人の判断力を時に鈍らせ、過酷な状況に人をとどめてしまう。ブラック企業をやめられない人(つまりは昔の僕なんだけども)など、まさにいい例だろう。
そんな状況から“逃げる”決断をさせてくれるのは、外からきた人との出会いなのかもしれない。そんなことを思わせる一作だった。
映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』
■STAFF:
原案・脚本・監督:谷口悟朗
共同脚本:永井真吾
キャラクター原案:コザキユースケ、しまどりる
CGディレクター:小山田諭
音楽:中川幸太郎
企画・プロデュース:スロウカーブ
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
配給:ギャガ
主題歌:アツキタケトモ「匿名奇謀」(Polydor Records)
■CAST:
キサラギ:小野友樹
ルナルゥ:上田麗奈
クルス:斉藤壮馬
ジャミ:内田雄馬
ララック:ゆきのさつき
ノノック:倉田雅世
ザンザ:福山潤
ゼッシュ:置鮎龍太郎
ヤオハチ:中谷一博
エクア:大橋彩香
フェレス:高橋李依
マルテース:長縄まりあ
アルガ:速水奨
ウルラ:三木眞一郎
エム:日高里菜
転法輪:山寺宏一
公式サイト:https://bloody-escape.com/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/BLOODY__ESCAPE
(C)2024 BLOODY ESCAPE製作委員会