僕はどうにも人を“論破”する人が苦手だ。こと、仕事の過程でそういう人を見るとなんともモヤモヤした気持ちになる。
相手を言い負かしても大概いいことはない。自分の希望を通すにあたって相手に敗北感を植え付ける必要はないし、それで相手がやる気を失ってしまったら身も蓋もない。大事なのは、相手を嫌な気持ちにさせないまま希望通り動かすよう仕向けるかだと思うわけだ。
その好例を見せてくれたのが『Dr.STONE NEW WORLD』第14話「頭脳戦のディールゲーム」だった。
本エピソードで主人公・石神千空たち科学王国の面々は、敵方の最強兵士・モズを協力者に仕立てるよう苦心する。その際に一役買うのが科学王国に属するメンタリスト・浅霧幻だ。彼は持ち前の会話術を駆使し、口八丁でモズを科学王国の希望通り動くよう仕向けていく。さも、モズの希望を叶えたように見せかけて。そしてこの交渉劇の締めくくりは幻の「ディールゲームの勝ち筋は相手を凹ますことじゃないの」との一言で締め括られる。
ただの口喧嘩ならいざ知らず、口論で相手を言い負かしていいことはない。にも関わらず、相手を言い負かし自分の思うように動かそうとする人は(主にサラリーマン時代に)嫌と言うほど見てきた。結果、言い負かされた側がやる気を失い非協力的になるという状況は何度も見てきた。なんとも本末転倒だな、なんてことを思うのだ。
自身の利を優先し、相手を凹ませない道を選ぶ。そういう考え方が広がると世界はちょっとだけ優しくなるんじゃないだろうか、なんてことを思いながら幻の活躍を見ていたのだった。
『Dr.STONE NEW WORLD』
■STAFF:
原作:稲垣理一郎・Boichi「Dr.STONE」(集英社 ジャンプ コミックス刊)/監督:松下周平/シリーズ構成・脚本:木戸雄一郎/キャラクターデザイン:岩佐裕子/デザインワークス:水村良男/メインアニメーター:堀内博之/美術設定:青木智由紀/美術監督:吉原俊一郎/色彩設計:中尾総子/撮影監督:金光俊/編集:坂本久美子/音響監督:明田川仁/音楽:加藤達也・堤博明・YUKI KANESAKA/アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
■CAST:
石神千空:小林裕介/七海龍水:鈴木崚汰/大木大樹:古川慎/小川杠:市ノ瀬加那/コハク:沼倉愛美/クロム:佐藤元/金狼:前野智昭/銀狼:村瀬歩/ルリ:上田麗奈/スイカ:高橋花林/あさぎりゲン:河西健吾/カセキ:麦人/西園寺羽京:小野賢章/上井陽:中島ヨシキ/花田仁姫:種﨑敦美/マグマ:間宮康弘/北東西南:日笠陽子/獅子王未来:石見舞菜香/フランソワ:坂本真綾/石神百夜:三上哲 ほか
公式サイト:dr-stone.jp
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(c)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会