『Helck』#14-18 強大な能力を持つヘルク、それを封じ込めた民衆の力【アニメミニコラム】

僕の中で勝手に「主人公が強すぎる系」と呼んでいる一連の作品がある。『ワンパンマン』なんかはわかりやすくこの一例だ。僕の中では『YAWARA!』も同ジャンル作品だと思っている。
読んで字の如く、主人公が圧倒的な強さを誇るこれらの作品。彼らが戦いを始めた瞬間に勝敗はほぼ決まっている。そのため、物語の見どころはは主人公が参戦するまでのスッタモンダにあることが多い。

現在放送中の『Helck』も、前半は同ジャンルに属する作品だったと思う。魔王後継者を決める大会において、ヘルクは圧倒的な能力を用いてライバルたちを退けていく。その様子を見て大会運営者たちがスッタモンダするのを見て楽しむ作品だったと思うのだ。

しかしながら、本作は後半から新たな面白さを見せてくれた。物語はヘルクの過去編に突入し、そこで描かれたのは魔王後継者決定戦に参戦するまでの経緯だ。その中で、ヘルクもラファエド、ミカロス両名による全人類の勇者覚醒計画を防ぎ切ることができず、敗走を余儀なくされる。

あれだけの能力を持つヘルクを敗走に追いやられたのは何故だろうか? そこには彼を持ってしても争うことのできない民衆の力があったように思う。
ラファエド、ミカロスは民衆を先導する力に長けていた。彼らは魔族を、ヘルクたち一行を、“悪”として知らしめるためのパフォーマンスを行って民意を先導していく。結果、ヘルクの強大な力を持ってしても抗えない状況を作り、彼を敗走に追いやったのだ。

どんなに強大な力を持っていても、民意が敵に回れば打つ手はなくなってしまう。これこそが彼らを封じ込める唯一の手立てだったのかもしれない。

TVアニメ『Helck』

日本テレビ・BS日テレ他にて連続2クールで放送中!
■STAFF:
原作:七尾ナナキ(小学館「マンガワン」連載) 
原作協力:小林翔
監督:佐藤竜雄 
シナリオ:根元歳三、広田光毅 
アニメーションキャラクターデザイン:出野喜則 
美術設定:滝口勝久(スタジオちゅーりっぷ) 
美術監督:岩瀬栄治(スタジオちゅーりっぷ) 
美術監督補佐:鈴木大介(スタジオちゅーりっぷ) 
色彩設定:長谷川美穂(緋和) 
撮影監督:志村豪(T2studio) 
編集:兼重涼子
音響監督:高松信司 
音響制作:三木プロダクション(チームカワドン) 
音楽:平野義久
アニメーション制作:サテライト
■CAST:
ヘルク:小西克幸 
ヴァミリオ:小松未可子 
アズドラ:松岡禎丞 
ホン:石田彰 
アスタ:青木志貴 
イスタ:白石晴香 
ケンロス:吉野裕行 
ヒュラ:前田玲奈 
ドルーシ:中島卓也 
ロココ:徳井青空 
ピウイ:井澤詩織 
クレス:小野元春 
アリシア:近藤玲奈 
ラファエド:宮内敦士 
ミカロス:平川大輔 
シャルアミ:花守ゆみり
エディル:七海ひろき 
ゼルジオン:森嶋秀太 
ハラオル:丹羽哲士 
イーリス:愛美
魔女:ゆかな
人間の王:杉田智和
ナレーション:池田秀一

アニメ公式サイト:https://www.helck-anime.com/

(c)七尾ナナキ・小学館/Helck 製作委員会

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